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人建築事務所 開設20周年を迎えてeal estate


 ゴールデンウィーク最終日を迎え、「ロボジー」のようなぎこちない仕草でデスクにむかっています。
昨日、一昨日と息子の子ども会ソフトボールチームの練習に参加し、全身筋肉痛に見舞われたためです。

 今年の3月1日に、お陰さまで、一級建築士事務所開設20周年を迎えました。、本当に皆様のお陰です。
齢47歳となり、老眼も進み白内障もみられ、老化の一途を着実にたどっておりますが、小学生、中学生、高校生、大学生に混じってソフトボールや野球をやっていると、年齢を忘れて愉しみながら交流している自分が居ます。有難いことですね。

 老化をたどっておりますが、死滅する細胞があれば生まれ来る細胞もあります。若い方達と一緒にスポーツしていると、心が若くなる気がするのです。身心ともに健康であることを、心から感謝申し上げる次第です。

 20年を振り返ると、よくここまでやってこれたもんだと感謝の思いが湧きます。多くの方々の支えや導きがあってこそです。これからは恩返しをしていく番だと思っています。

 設計者は人と人、人と環境、人と何かを構築していくのが役割だと考えています。きまりきった何かではなく、様々なモノやコトを構築してつくりだすことが使命だと感じています。「木杢人(もくもくと)」これはまだ仮のコンセプトですが、木材の産地や生産者さんと、職人さん、住まい手の皆さんをつなぎ合わせ、顔の見える住まいつくりを進めるプロジェクトを考えています。

 日本は国土の67%を森林が占める、世界でも有数の森林国でもあります。古くから計画植林も行われてきており、森林資源は豊富だといえます。ところが、木材の自給率は平成23年度で26.6%(林野庁調べ)で、豊富な資源を有効に利用できているとは言えません。昨年夏に材木業を営む同窓生と会い、彼らの素晴らしい取り組みの数々を知ることができました。それらをきちんと住まい手の皆さんにお伝えするのも私たちの役割だと感じました。

 日本の職人さん達の技術レベルの高さは、世界でも有数です。建築家の隈研吾は「日本の職人の技術レベルの高さを一番知らないのが日本人」だと語ってみえました。事実、近所の住宅現場ではフィリピンでつくられたユニットが、フィリピン人の職人さん達により組み立てられていました。そのように日本の職人さんの高い技術を不要とすることで、きちんとした技術を持つ職人さん達の活躍する場が減ってきているのです。今年に入って、腕のいい大工さんが一人やめてしまいました。1年の内、50日も仕事がない状況では生活できないとの事でした。残念でなりません。

 国産材や日本の職人さんの人件費は高いと思われるかもしれませんが、円安の現在、決して特別高いものではありません。ましてや、タンカーで運ぶエネルギーや、山が生きることで自然環境が保全されること、職人さんが仕事をすることで内需が拡大していくことを考えれば、周りまわってその対費用効果はより高くなるといえるでしょう。

 さらには、顔のみえるモノつくり、コトつくりは、何よりも安全と安心と信頼を得る方法だと思うのです。「千と千尋の神隠し」にも出た「かおなし」では、実態の伴わない欲だけが独り歩きする様が描かれました。顔のみえないやりとりには、そのような傾向が見受けられるのです。木(材木の産地や生産者さん)、杢(大工さんやその他の職人さん)、人(住まい手の皆さん)を、きちんと顔が見える関係でつなぎ合わせるのが、設計者の役割でもあると考えています。

 まだまだ元気で、若い方達には負けません。自分の可能性を信じ、自己の尊厳をもって、あらゆることに臨みたいと思います。


2013年5月6日
人建築事務所 関口啓介