家を建てたから集落をつくり社会を形成した
ヒトはなぜ家を建てたのか
人類最初の家は現生人類(クロマニヨン人)が建てたといわれています。マンモスの骨を柱にして獣皮で覆ったようです。元々洞窟に住んでいた現生人類は、奥まった狭い空間で寝ていたようです。現生人類の赤ちゃんは未熟な状態で生まれ成長も遅いため、安全なシェルターが必要でした。
洞窟から出て家を建てた現生人類は集落を形成していたようです。氷期の中で大型動物が姿を消し、いくつかの方法を試した結果だそうです。かなり安定した永住可能な本拠地をつくり、共同体を形成していたようです。分業をし、原始的農業の元となるような植物の採取を行い、オオカミの家畜化(犬)もこの頃行っています。
その後訪れたヴェルム氷期ヤードリアス期(およそ1万3千年前)は、約10年のあいだに気温が約7.7℃以上降下し、多くの生物が絶滅しました。現生人類と同時期に生存していた旧人(ネアンデルタール人)はこの時期に絶滅したといわれています。
旧人も現生人類の真似をして家を建てたようですが、彼らは上気道が短く、分節言語を発する能力が低かったといわれています。明確な言語を話せず持たなかったようですね。そのことは、情報伝達が不正確なだけでなく、私たち設計者が言語をもとに構築する過程を考えてみると、物事を構築する能力が低かったのではないかと思われるのです。
ですから、旧人は家をつくる真似はできても、自ら考え構築することができなかったのではないかと推測できます。おそらく、彼らにとって本当に必要な家をつくることができなかったのでしょう。それと同時に、集落も、社会も複雑な構築は無理であったのだと思われます。
現生人類にとって自ら家を建てるというのは、構築を体現することであり、最終氷期を乗り越えるために用意したものであった!と、結果的にはいえるのではなかろうか。