家を建てる前に
気候風土に合った家を

あなたがお住まいの、または家を建てる土地・処の気候風土に合った家を建てる事が望ましいでしょう。

食べる物は、その土地ところの作物が一番良いとうかがいます。それは、その土地ところの気候風土で育ち、その自然条件に則した作物を摂取するのが一番自然の理に適っているからでしょう。地産地消ともいいますが、遠くの地域や外国で採れた食物を、多くの運搬費用をかけて摂取するのは無駄も多くなります。それでは、住まいはどうでしょうか。同じくその土地ところの材料は、その気候風土の影響下で成長しておりますので、その後建物の材料として長い年月を雨風に耐えるのも、育ったところと条件が近いほうが良いということになります。またその材料でつくられた環境は、そこで生まれ育ち、そこに暮らす人にとって、最も慣れ親しんだ環境に近くなることも意味しております。

しかし、実際には、南仏プロバンス風の住宅、北欧風の住宅、気候風土を無視した全国標準仕様の住宅を、その時々の流行すたりも含めて多く目にします。全国津々浦々の町並みが同じ様な顔をしているのは、本当はおかしなことだと思います。気候風土のまったく違う国の輸入住宅や、関東圏仕様の住宅をそのまま建てる事は、その土地処の性格を強引にねじ伏せて、押さえつけてしまうようなものです。その土地、その場所ごとに、風の通りや日照が違い、ましてや住まう家族が違う以上、その風のささやきに耳を傾け、その陽射しの輝きと温もりに敬意を表し、家族の願いに応えれるような住まいつくりが望ましいと思います。

高温多湿の日本には、木や、土壁などの呼吸する素材を用いた住宅がもっとも適しています。とくに、針葉樹系の杉・檜などのムク材は湿気を吸収し、乾燥時に吐き出す、すばらしい機能を持っています。見栄えのする新建材に目を奪われることなく、よく考えて材料や、工法を選びましょう。

まずは建てる前に、自分の住む地域の気候風土を勉強してみましょう。それがより良い家造りの第一歩ではないでしょうか。

地名 1月の日最低気温の平均値 8月の日最高気温の平均値 1月の平年気温 8月の平年気温
名古屋 -0.2℃ 32.2℃ 3.7℃ 27.1℃
東京 1.2℃ 30.9℃ 5.2℃ 27.1℃

では私が住む名古屋について少し勉強してみましょう。

名古屋市は本州のほぼ中央に位置します。木曾・長良・揖斐の木曾三川によって形成された濃尾平野が広がり、南部は伊勢湾に接し、東部は丘陵地がつづき、愛知高原、中部山岳に連なっています。

市内中心部と東部は熱田層の堆積した名古屋台地といいます。昔の川(旧矢田川か旧庄内川)による侵食でできた大曽根凹地がその中央を走ります。市東部・千種区東山から天白区大曽根、瑞穂区東部は東部丘陵、八事丘陵。東部丘陵西の千種区覚王山から名古屋大学にかけての平坦面は覚王山面といいます。市内南西部は、17世紀中頃から干拓によって水田化がすすめられた「0メートル地帯」と臨海工業用地です。

名古屋市の地質は、東部が新生代や第四紀の洪積世に堆積した八事層と唐山層です。中心部はこの上に同じ洪積層である熱田層がのります。西部は第四紀の沖積層である南陽層で沖積低地を構成しています。熱田層の土質は、粗い砂層、シルト、礫層、粘土層からなっています。南陽層の土質は、やわらかい粘土層、砂層、泥層からなり、地震や洪水の時にはもっとも危険の大きい軟弱で低湿な地盤です。地震発生時の液状化現象も心配されます。私はこの地域に住んでいるので心配です。ご心配の方は気軽にご相談ください。

名古屋市の気候は太平洋岸の他都市より寒暖の差が大きいといわれます。濃尾平野が東・北・西部を高原や山地に囲まれた盆地状になっており、伊勢湾に面していますが、外洋から70km以上はなれているため、黒潮の影響を受けにくく、内陸性に近い気候になっています。また冬には「伊吹おろし」と呼ばれる北西季節風が寒さを厳しくします。これは日本海側と太平洋側が本州で一番迫る若狭湾から伊勢湾にかけて、日本海から吹く北西季節風が吹き、1,000メートル級の山々から吹き降ろされるからです

風土や文化については、地域の年長者と話をしたり、郷土史を読んだり、色々な地域の資料などを紐解くと、意外なことがわかったりしてなかなか面白いです。自分の住んでいる地域がもっと好きになるはずです。是非、楽しみながら気候風土について勉強してみましょう。