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私たちの身の回りには有害な物質等があふれています。これらすべてを取り除き無菌状態で生活することは難しい事ですが、無制限に与えられるこれらについて少しでも知り、防ぐ必要があると思われます。建築の中で使われる材料について、正しい知識を身につけながら材料について、配慮するように心がけましょう。
まず、均一なきれいな材料は天然の材料ではありえません。「曲がったきゅうり」を受け入れるように、多少いびつであったり、節があったりする物を受け入れる大きなふところが必要です。均一な物を、見栄えのする物を求めるあまり、人工的な材料が多く出回っております。これらの多くは外見を繕うために有害な物質を含んでいる事があります。この中での生活が、化学物質へのアレルギーの弾きがねになり、シックハウス(住源病)、化学物質過敏症などの病気にもなりかねません。また解体して焼却するときなどにも有毒ガスなどを発生したり、環境中に残留したりします。またこれらを作る人達も、毒性のあるものを使い、作り続けるわけですから、体に悪い影響を及ぼします。住んで悪し、壊して悪し、作る人にも悪しと悪いことずくめです。では何故使われるのでしょうか。求める人が居て、使いたい人が居るからです。ここらへんから徐々に変えていけるといいですね。
ここに記載した事項は、全ての方に害があるとは限りません。昨今のコマーシャリズムの中で過敏に取り沙汰される傾向もありますので、専門家とよく相談してより良い家造りに励んでください。
合板・集成材木材・紙壁紙床材畳石材石綿スレート塗料断熱材浴室・トイレインテリア
建築の中に非常に多く使われています。ムクの柱に見えるヒノキの柱も集成材だったりします。合板、集成材は接着剤なしにはその存在はありえません。その接着剤の原料に使われている「ホルムアルデヒド」が揮発します。ホルムアルデヒドは、発ガン性が考えられ、急性毒性が強く、突然変異性もあり、劇物に指定されています。
JIS規格により、ホルムアルデヒドの放散量による等級区分及びその表示記号として、F☆☆☆☆(放散量が小さく使用規制が必要ない建材)、F☆☆☆及びF☆☆(放散量はある程度あるが、使用面積を一定割合にすることで建材として使えるもの)を規定しております。最近ではほぼ全ての建材商品がこの規格を満たしており、そうでないものは居室内では使用できないと考えてよいでしょう。また、F☆☆☆☆であれば安全かというと放散量が少ないというだけで、ゼロではないことに、注意が必要です。
また防虫処理の薬剤の中では、有機リン系殺虫剤(ホキシム・ピリダフェンチオン・フェニトロチオン・クロルピリホス)は揮発して人体に影響しますので、揮発しないホウ酸化合物が良いでしょう。
対策
:合板の使用はなるべく避け、押入などは石膏ボードを生地のまま使用すると、吸湿効果もあり、よいでしょう。合板を使う場合は、F☆☆☆☆合板を指定しましょう。天然の素材である木材・紙は毒性の心配はありません。しかし防腐剤、防カビ剤、防虫剤が使われているものがあります。
薬剤の中では、クロム・銅・ヒ素化合物は加工廃棄時に重金属汚染をもたらします。クレオソート油は発ガン性物質が揮発します。アルキルアンモニウム化合物、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛は不揮発性なので室内空気汚染にはなりません。有機塩素系農薬を防腐剤として利用するのは、発ガン性や、環境への蓄積が心配されます。
シロアリ駆除剤は、有機リン系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤が殆どです。これらは床下から室内に侵入し、人体に入ります。土地ところに合った対策方法がありますので、薬剤を絶対主義とするシロアリ駆除会社に相談するのでなく、信頼できる建築士や工務店にご相談ください。
対策
:土台には防腐剤などの注入、塗布されたものはさけ、ヒバを使うとよいでしょう。基礎天端を分断する床下換気口はさけ、まんべんなく換気の取れる土台パッキンを使用するとよいでしょう。また束石の上や、基礎の上には防蟻板(銅版がよい)を設置するとよいでしょう。紙は防カビ剤、防虫剤の使用されているものを避け、湿気の多いところには使用しないようにしましょう。ビニールクロスに使用されるポリ塩化ビニール樹脂は塩化ビニールモノマーを原材料とし、発ガン性が指摘されています。可塑剤の フタル酸ジエチルヘキシルは発ガン性があり、リン酸トリクレジルには神経毒性があります。坑カビ剤は農薬の殺菌剤や除草剤の成分そのままのものがあります。安定剤には有機鉛系、有機スズ系、金属石鹸系(カドミウム、亜鉛など)が使われ、重金属汚染が問題です。紙・織物の壁紙でもポリ塩化ビニールを使用している物がありますので気をつけてください。
対策
:紙、綿、麻などでできた安全性の高いクロスを使用しましょう。下地を石膏ボードにすれば、安全性の高いクロスは通気性も高いので、石膏ボードの吸湿効果も期待できます。クロスの接着剤は防カビ剤の入っていないでんぷん系ののりや、メチルセルロース系の接着剤など、有害な化学物質が揮発しないものを指定しましょう。しっくい塗りにする場合は、有害な化学成分がまったく入っていないしっくいは稀なので、有害物質を吸着する活性炭やゼオライトを混ぜてもらうとよいでしょう。和室に使うじゅらく壁は、本じゅらくは稀で、多くは木屑を接着剤で固めたものです。本じゅらくは費用がかさむので、珪藻土や、FC土壁がよいでしょう。食堂、キッチン、洗面所や事務所などに多く使われているのが樹脂系床材です。樹脂系床材の多くはポリ塩化ビニール樹脂を主原料にしています。塩化ビニールをはじめ有機塩素化合物は環境残留性が強く、発ガン性をもつものが少なくありません。また焼却処分時にダイオキシンが発生します。よく使われる可塑剤フタル酸ブチルベンジルやフタル酸ジラウリルも発ガン物質を含みます。貼りつける接着剤にも配慮が必要です。
吸音材、衝撃吸収材として使われる合成ゴムはスチレンやブタジエンが主原料でいずれも発ガン物質です。弾力性を増すために使われる加硫剤・加硫促進剤の多くは強い毒性が考えられ、発ガン性が指摘されています。
対策:
床材はなるべくムク材を使用し、節のある並材ならそう高くありません。杉や檜などは調湿機能にもすぐれています。ただ針葉樹系のムク材は柔らかく、傷がつきやすいので気になる方は、天然系塗料を塗ると良いでしょう。亜麻仁油、松やに、コルク粒、炭酸カルシウム、色素、ジュートなどの天然材料を原料とした天然リノリウムを張るのも良いでしょう。吸音材、衝撃吸収材は防音コルクを張るとよいでしょう。ただし天然リノリウム、天然コルクとも、天然ゴム系の接着剤を使用し、下地にはムク材か、F☆☆☆☆合板にしてください。床鳴りなどを押さえるために使う木工用ボンドはなるべく使わずに、使う場合は天然系接着剤またはF☆☆☆☆製品を使用しましょう。ケースによっては少量の木工用ボンドの使用はさほど問題にはなりません。コンクリートボンドには殆ど有害な有機溶剤が含まれています。より安全な水生コンクリートボンドや、天然系接着剤を使用しましょう。畳の多くはダニを防ぐ防虫加工紙が縫い込まれています。使われている薬剤はフェニトロチオン、ダイアジノン、フェンチオンなどの有機リン系殺虫剤で、使用量は水田の20倍から30倍にもなるといわれます。防虫剤のナフタリンはさわると炎症をおこしやすく、蒸気には粘膜刺激性があり、頭痛、嘔吐、発作を起こします。ナフタリンは不必要なので畳下に撒いたりしないようにしましょう。
最近はわら床の代わりにポリスチレンフォームやインシュレーションファイバーボードを使うものがあります。ポリスチレンフォームのスチレンモノマーは発ガン性物質で、インシュレーションファイバーボードは有害な接着剤が使用されています。
畳表に使われるマラカイトグリーンは水に良く溶けるので、赤ちゃんがなめたり、唾液や汗で溶けて口や皮膚から人体に摂取される心配があります。いかにも着色されたような緑色はマラカイトグリーンが使われています。
対策:
信頼のおける畳屋さんに農薬などの成分を含まない安全な畳を(わら床の農薬にも気を付ける)作っていただくか、コストは倍以上になりますが、コルク畳や備長炭入り畳が良いでしょう。また気密性が高く、通風が悪いためダニがわきやすくなるような建物では、畳の使用はあきらめた方がよいでしょう。花崗岩、流紋岩、凝灰岩、片麻岩、安山岩などは天然ウラン含有量が多いといわれます。ウランからはラドンガスが発生し、肺がんの原因になります。
対策
:高級感を出すために室内で使いたいケースもありますが、室内での使用は極力さけましょう。アスベスト(石綿)の繊維は肺に吸い込まれると呼吸器障害、肺がんなどになります。アスベスト繊維を撒きちらす建材は使用禁止になりました。石綿をセメントやプラスチックで固めた建材は最近まで多く使われており、解体時、廃棄時にアスベスト繊維が空気を汚染するので危険であり、解体工事、廃棄処分にも多くの費用がかかります。
対策
:石綿系の建材の解体は専門家による検査を受けましょう。塗料には薄めるためにたくさんの有機溶剤が使用されています。トルエンはシンナーの主成分で、人の中枢神経をマヒさせます。キシレン、エチルトルエン、トリメチルベンゼンなど芳香炭化水素の溶媒も、麻酔作用があります。
対策
:室内木部には天然系の塗料で、木材の吸湿効果を妨げない物を使用しましょう。断熱材として一般的に使われているものは、グラスウール、ポリスチレン系、ロックウールが殆どです。これらはいずれも発ガン性物質を含み、グラスウール、ロックウールなどは内部結露時に水分を含み、腐朽菌が繁殖したり、シロアリ被害の危険性を高めます。
対策
:炭化発砲コルク系、杉等の柔らかい木材、粗壁用の土や粘土、パーライト、珪藻土などの安全な断熱材がお勧めです。セルロースファイバーやPET(パーフェクトバリア)も環境負荷が少ない上では望ましい材料です。化学系の断熱材を使う場合は、発砲ポリエチレン系の断熱材がよいでしょう。ただし調湿機能はありません。合成樹脂でできたユニットバスなどでは、大半が有害な化学物質が発生し、廃棄時の環境残留性が問題です。24時間風呂では湯水にレジオネラ菌が繁殖する場合があるそうです。
対策
:ユニットバスなどを使用する場合は、通風を良くしましょう。また換気扇などで1日1〜2時間換気するとよいでしょう。可能であれば、木製、ステンレス製、ホーロー製の浴槽がよいでしょう。木製の場合は槙や檜ならそれほど黒ずむ心配はありません。価格も製造元で現金で買えばそう高くはありません。床はタイルが一般的で、暖かみがある床用炭化コルク(安全な接着剤使用)も良いでしょう。腰壁は1.2mまでタイルを張り、その上の壁には調湿性のある、檜やヒバの板(水をはじく天然系塗料を塗ると良い)や、珪藻土塗りなどが良いでしょう。天井にはムクの板を張り、通風のため小窓を2箇所以上設けましょう。住宅建材に気を配っても家具や、カーペット、カーテンから有毒な物が発生しては何もなりません。これらにも同様の注意が必要でしょう。
これらすべてを行わなければならないというものではありません。みなさんの状況(化学物質への過敏さや費用)に合わせて行いましょう。
商業主義的に健康住宅を売り込もうとする向きあります。また一つの事項のみを取り上げて健康住宅などと偽っているメーカーや会社もあります。自分でしっかり確認できる目を養いましょう。
これらは専門的なこともあり、自分たちだけでは難しい事もあります。健康及び環境の問題に真剣に取り組む、設計事務所・工務店・コンサルタントに依頼するのが近道ですが、家族でよく話し合い、自分たちの問題として人任せにしないようがんばりましょう。
参考文献「健康な住まいを手に入れる本」コモンズ