木は生命を育む地球からの贈りもの

 木は自然環境下でも柱や梁となって空間を形成していました。天蓋をつくり時に木陰をつくり、時に雨をさえぎり地上では最も大きな生物にもなります。それだけでなく、木は洪水を防ぎ、土砂くずれを防ぎ、雨水をきれいにし、二酸化炭素を吸って酸素をつくり、生物は木の恩恵に与かってきました。

 現代人が木の家に安らぎや心地よさを感じるのは、わたしたちの遺伝子に刻まれた生命記憶によるものもあるかもしれません。しかしそれだけではなく、木は鉄やコンクリートに比べ体温を奪わないという性質があります。

 木、鉄、コンクリートの箱でマウスの成育実験が静岡大学農学部で行われています。25℃の外部環境下での23日間の成育実験の結果それぞれの生存率は、木:85.1%、鉄:41.0%、コンクリート:6.9%となりました。授乳時に直接素材に接触するため、接触感覚が大きな差を生んだ誘因になったものと思われます。敷物を敷けばこの差は多少縮まったものと思われます。

 しかし熱を奪わないだけではなく、木は調湿効果があり湿度を50%程度の一定に保つ働きがあります。鉄やコンクリートはそれができずに菌やカビ・ダニの発生にもつながります。木は、さらに癒し効果もあり、鉄やコンクリートよりも生命に優しいということがいえます。

 これらの様々な性質や効果を考えますと、木は生命を育むための地球からの贈りものであり、生活空間に適した素材だということがわかります。日本の国土の66%を森林資源が占め、計画植林により増え続けていることを考えると、外国からわざわざ輸入する必要がないこともわかります。国産材を使い、信頼できる大工さんや職人さんたちとつくる住まいは、ご家族にとっての 生命を守り育むための地球からの贈りものなんですよね!